国宝巡りの記録

昭和43年発行の国宝事典(増補改訂版)を元に国宝を巡っていきます。

特別展「法然と極楽浄土」を観に行く


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【見に行った日】2024年5月12日

【場所】東京国立博物館 平成館

【拝観料】前売券で1900円

【見学にかかった時間】

特別展全体で約1時間50分

【鑑賞の記録】

9時半過ぎに東京国立博物館に到着。まっすぐ平成館へ向かった。

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日曜日だったので会場に入るとかなり混んでいた。

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まずは第1章の「法然とその時代」を目録に沿って順番通りに鑑賞し、最初の国宝に対面。

その後も法然上人像や絵伝等を見て廻り、第2章の「阿弥陀仏の世界」へ入った。正直、浄土宗のことやそれに纏わる作品等について全く知識が無く、とにかく何だか特別なものを見させてもらっている、という気持ちだけでひとつひとつじっくり鑑賞していたのだけど、一見仏壇のような大きな木の棚に引きつけられた。

それは、「紫檀螺鈿厨子(来迎阿弥陀三尊立像納入)」

厨子とは、仏像・舎利(しゃり)・経巻などを納置するもの。この厨子の中央には阿弥陀三尊立像が置かれていて、厨子の内側の壁に、三尊を取り囲むようにぎっしりと千体の小さな仏像が並べられていた。このようなものを作ろうとした発想もスゴいし実際作った人もスゴい。途轍もない志や信仰心を感じる作品だった。

そして次の国宝に対面。

第2章を見終わり、展示室を出てミュージアムショップに入った。特に欲しいものは無く、約5分くらい見て次の第3章「法然の弟子たちと法脈」の展示室へ入った。

入った途端、今まで気づけなかった痛恨のミスに気づく。奈良県當麻寺所属の国宝「綴織當麻曼荼羅」の期間が5/6で終わってる〜!今日は5/12。展示期間を見落としてしまっていた〜。また見られるときが来るのだろうか。それは何10年後かもしれないけれど、いつかは建造物の国宝である當麻寺にも行くことになるし、いつか辿り着けますように。

気を取り直し、続いて次の国宝へ。

この展覧会での国宝はこれで最後だった。

引き続き目録に沿って他の作品も全てじっくり鑑賞し、第4章「江戸時代の浄土宗」に入った。正直「もう国宝無いし…」と、1900円もした鑑賞料金の元を取るためだけに江戸時代に制作された坐像やお経等をじっくり見ていたのだけど、むむむっ、これはスゴい!!!

それは「当麻曼荼羅図・祐天上人像(厨子入)」 木造厨子の表と裏に両開きの扉があり、一方の扉にはもう祐天上人像が描かれていて、もう一方の扉には当麻曼荼羅図が小さなスペースに驚異的な細密さで描かれていた。1/400の縮尺らしい。国の重文指定等は無いけれど、今展覧会で2番目くらいに心を動かされた作品だった。

全て見終わり、会場を後にした。

それまで浄土宗等の仏教への興味や知識があまり無く、国宝を巡る、という趣味ができなければわざわざ高いお金を出してここに観に来ることも無かった。この日じっくりと触れて、何だか世界が広がった気がした。

今後も国宝を中心に観ていくけれど、国宝ではない作品もなおざりにせず、良いと思うものはしかと心に焼き付けたいと思った。